平成18年9月8日(金)〜9日(土)川崎医療福祉大学(岡山県)にて開催された、第12回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会企業展示ブースに参加した。
本協議会では今回は「企業展示」および「一般口演」に参加した。
同学会の行われた川崎医療福祉大学では、講堂、教室などそれぞれの会場において口演、セミナー、ポスター展示、企業展示といった催しが開催された。参加者数は2日間で延べ3,800〜3,900名(大会事務局速報)となっており、前回の3,895名と同程度であった。来場者は医師、歯科医師、言語聴覚士、栄養士、看護師、病院関係者、大学関係者など専門家で占められた。
企業展示(会場・福祉大学体育館)には計62社が出展しており(前回53社)、うち、協議会ブースおよび協議会員企業11社(明治乳業、ホリカフーズ、和光堂、マルハチ村松、キユーピー、フードケア、ハウス食品、亀田製菓、ニチロ、日東ベスト、日清オイリオ(日清サイエンス))が参加した(前回11社)。参加者数、参加企業数とも増加傾向となっており、年々活況を呈している感がある。
協議会ブースでは協議会員企業製品の展示・区分表パネル展示、UDF解説CD-ROMデモンストレーション(PCによる)、パンフレット(約500部。協議会パンフレット、区分選択のためのリーフレット、ユニバーサルデザインフード商品問い合わせ一覧表)配布を行った。
一般口演については、現在自主規格分科会(技術委員会)にて検討中のテーマをもってこれを行った。
タイトルは「市販とろみ調整食品のとろみ表現に適した食品の選択について」。
学会にて発表を行うためには同学会の会員である必要があるが、協議会では事前に学会会員に登録、発表申請を行い、同内容が口演に採用された経緯がある。演者には事務局があたった。
今回行った口演の要旨を下記に記しておく。
【市販とろみ調整食品(とろみ剤)のとろみ表現に適した食品の選択について】
【目的】
とろみ剤の商品パッケージには、消費者自身がとろみを調節できるよう、添加量とそのとろみ状態が記載されている。とろみ状態は、一般食品を例示して「○○g添加で△△状」(△△の例としてヨーグルトやマヨネーズ等)と記載されている場合が多いが、用いられる食品(以下、モデル食品)は多種多様である。また、モデル食品の中には、商品間で性状の差が大きく、消費者が共通のとろみ状態をイメージするのが難しいものもある。本研究は、客観的な力学的測定法から最適なモデル食品を選定し、提案するものである。
【方法】
とろみ剤および食品の力学特性として、テクスチャープロファイル分析(TPA)により「かたさ」と「凝集性」を、B型回転粘度計により定常ずり粘度を測定した。TPAは、直径20mm円筒形プランジャーを用い、架台速度10mm/秒、クリアランス30%で二回連続圧縮試験を行った。定常ずり粘度は、B型回転粘度計を用い、回転数12rpmで測定した。
【結果】
TPA測定により、とろみ剤の「凝集性」は添加量や商品によらず同程度(0.7-0.8)で、「かたさ」が異なった。「かたさ」-「凝集性」の二次元マッピングがとろみ剤と同程度の位置で、商品間で特性値にばらつきが小さい食品は、ポタージュ、とんかつソース、コンデンスミルク、ヨーグルト、ケチャップであった。また、これらの食品の粘度は、商品間でばらつきが小さく、ポタージュ以外は、厚生労働省の「咀嚼・嚥下困難者用食品としての粘度基準(1500mPa・s以上)」を満足した。
【考察】
モデル食品として、「かたさ」(あるいは粘度)の低い順に、ポタージュ、とんかつソース、コンデンスミルク、ヨーグルト、ケチャップが適当であると考えられた。とろみ剤メーカーが同じモデル食品を採用することで、商品の購入や使用が容易になるものと考えられる。